私が大好きだった全日本プロレス、中でも最も熱狂した90年代、一世を風靡したのは三沢光晴、川田利明、田上明、小橋健太選手の4強時代、謂わゆる”四天王時代”。
その小橋健太選手が全日本プロレス時代のことを綴った「熱狂の四天王プロレス」を読了しました。
最初に買った時に驚いたのは本の厚さで実に300ページにも及びます。
読んでみたら、なるほど、小橋選手のデビューから全日本プロレス退団(ノア設立前)までを一気に振り返る内容でしたので、そりゃボリュームも多くなるはずです。
この本を読みながら、全日本プロレスの小橋選手自身での本人の試合を振り返る文章を見ながら、私自身も当時のことを振り返りながら読めたのは良かったです。小橋選手のプロレス人生だけでなく、自分自身のプロレスファン人生をも振り返られるみたいな心境で読み続けられたのは予想外の価値がありました。
実は私は全日本プロレスと新日本プロレス、どちらも好きでした。しかし、自分の金でプロレスを観戦に行くようになった時、よくプロレスファンでない友達を呼んで「プロレスの面白さ」を伝えようとしていました。その時に新日本プロレスのある大会で試合は短時間であっけなく終わる、そしてなぜか敗者が試合終了後になぜか元気で乱闘している、そんな興ざめな展開を見て完全にファンで無くなりました。逆に当時の全日本プロレスはリングで激しい消耗戦を繰り返し、その耐える姿で精一杯頑張る姿を見せてくれ観る私達側に感動を与えてくれました。それが今に至っている訳です。
「四天王プロレス」を小橋さんは次のように綴っていました。
常に向上心を持って突き詰めていくプロレス
本当にその通りでしたね。同じ選手同士の戦いを重ねていく中で、マンネリ化との戦いな訳ですが、その試合を重ねる中で戦う者同士が試行錯誤しながらレベルを上げていき、ファンを驚かせるとともに応援したいと思わせてくれるリングでした。
では、私がなぜ全日本プロレスに、鶴田軍VS超世代軍→四天王プロレスの流れの中であれだけ興奮と熱狂、感動をもらったのか?それは何よりリングで戦う選手達から本当の「一生懸命さ」を感じたからだと思います。
どんなレスラー(人)でも一生懸命頑張れば強くなれる、それが自分の立場になって考えると、一生懸命頑張れば、あそこまで凄いことができるんだと教えてくれました。だから、仕事であろうがプライベートであろうがスポーツであろうが一生懸命取り組むことが大切であり、そうやって自分自身を成長させていくことが大切なんだと思わせてくれたのだと思います。
当時もそうでしたが、プロレスを見ない輩はプロレスを否定します。八百長論争はいいとしても、レスラーの凄さ、その過酷さを超えた人間力を無視し、何の努力もできないような学生、社会人が軽々しく小馬鹿にする姿がどうしても私自身許されませんでした。
人はすぐに人の悪口を言います。何かあると、自分自身がしんどい思いして努力して価値を上げるより、しんどい思いをしたくない人が他人の悪口を言い、周りの価値を落とすことであたかも自分の方が価値のあるように見せつける愚かな人間が多いです。その方が楽ですから。だから、私は自分がスポーツの指導者として選手の実力が伸びない時も「まず自分が指導者として何ができるか?」を考えられるようになったのかもしれません。よく指導者同士の飲み会などで他人の指導者の指導法を貶したり、選手の能力をバカにしたりする指導者を見ると非常に腹が立ちます。こう言うところも、何となくですが当時の全日本プロレスを見れたからのだと感じています。
小橋選手がどうしてあれだけ多くの人から支持を受けたのか?
小橋選手がガンを患い、闘病生活後、リングに戻ってきた復帰戦、そして引退の試合、このどちらも私は日本武道館に行きましたが、そのチケットは本当に一般プレイガイドでは発売開始時間で一気に売り切れました。
そこまでの人気者になったのは、何より小橋選手がどんな選手相手でもその選手を対戦相手としてリスペクトし、その良さを引き出して試合を組み立てたからです。だから、どんな相手でも小橋選手の試合は熱く感情移入ができました。その継続がいつしかファンの信頼感を得、「小橋の試合なら見に行っても面白い」と思わおせてくれたからだと思います。
同著ではシリーズ中、様々な地方会場でシングルマッチを組まれて大変だったことを綴っておられましたが、それは地方の営業、興行主が希望したからだそうです。本当に小橋選手は大変だったと思いますが、それを如実に表すエピソードでした。
「四天王プロレス」
ファンの立場として私にとっては、一生懸命頑張ること、そして一生懸命真摯に頑張り努力をすること、そして周りの人達を生かすことを教えてくれるものでした。
全日本プロレス、ジャイアント馬場、そして四天王プロレスから影響を受けたもの、学んだものは私の生涯に残るものであり、その時代、それを共有し体感できたことはファンとして誇りにさえ思います。
長くなったので、また小橋選手の試合についても振り返る時間を作りたいと思います。
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