【小橋健太選手思い出の試合②】小橋健太VS川田利明

格闘技

 この試合も私にとっては非常に強く印象に残っている試合になります。
 皆さんもご存知のとおり、この試合は大阪では久しぶりの三冠統一ヘビー級選手権試合として、チャンピオンの川田利明選手に上り調子の小橋健太選手が挑戦する試合として大阪のファンに大きな注目を受けた試合でした。
 ところが、その2日前、あの阪神大震災が起こりました。これは私が成人式を行った2日後でしたのでハッキリ日付も記憶しております。
 この大阪大会は状況を察し、中止にする可能性もあったようですが、馬場さんの英断で興行を決行したと聞きます。
 大阪もそれなりに被害が大きかったですが、私の友人たちも皆無事観戦できる運びとなり、当日を迎えることになりました。
 
 この日は三冠選手権もさることながら、セミファイナルにはジャイアント馬場、ジャンボ鶴田、三沢光晴という豪華トリオが結成されたことも話題となりましたが、三沢選手のスピンキックで対戦相手の本田多聞選手が怪我をして戦線離脱するなど少し暗い雰囲気のままメインイベントを迎えたように記憶しています。

 

 そして、この川田VS小橋戦は伝説に残る60分時間切れ引き分けという凄まじい試合となりました。
 当時の四天王と呼ばれた三沢、川田、田上、小橋選手の試合はいずれもハードな試合で毎回20分を越す激闘を繰り広げていました。そんなハードな試合が何と60分も続くという離れ業を見せてくれたのが川田選手と小橋選手でした。
 どれだけ激しい攻防を見せても、どちらも必死になって立ち上がり戦う姿は、阪神大震災で喪失感を持った人々に少なからず勇気を与えるものでした。
 
 よく四天王プロレスを評して、「困難でも立ち上がる姿に勇気をもらった」というファンの声を聞きますが、この試合ほど勇気を与えられるものはありませんでした。
 試合が40分過ぎ、50分過ぎた時に個人的には「まさか・・・」とは思いましたが、本当に1時間戦い抜くとは思いませんでした。

 先日、G+のテレビ番組で福澤朗アナウンサーが「勝ち負けを超越して、どちらの選手にも感謝の気持ちが芽生えるのが四天王の試合」といった内容のコメントを話していましたが、本当にそんな気持ちにさせてくれる試合だったと思います。
 プロレスには感動がある。それはやはりリングの中でひたむきに戦う者で無ければあらわせないものです。

 今改めて、小橋選手の試合はどれほど心に残る試合が多かったのか・・・と改めて感じています。
 
 この試合は元々日本テレビが放送する予定でしたが地震のため、テレビ収録は無くなり、全日本プロレス自前のカメラでのビデオ販売となりました。
 ですので、声援などが小さく聞こえますが、本当は凄い声援が飛び交っていた試合です。日本テレビのカメラで残っていないのが非常に残念ではありますが、テレビ中継が無い試合でも凄い試合を見せていた当時の全日本プロレスらしいともいえるかもしれませんね。

 今思い出しても、四天王の選手たちには感謝の気持ちしかありません。
 本当にこの時代のプロレスと共に成長できる世代でよかったと心からそう思います。

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