ボブ・サップ選手の著書、「野獣の怒り」を読んで・・・

 一時期、K-1などの格闘技界で一世風靡したボブ・サップ選手の著書、「野獣の怒り」が発売され、読了しました。

 実はこの本をとても楽しみにしていました。別にボブ・サップ選手のファンであるわけではありませんが、彼がK-1等で組まれた試合に対してボイコットすることが何度かありました。
 しかし、興行を開催する会社からは「敵前逃亡」などと試合することを恐れて逃げたような報道をされていましたが、実に不可解な気持ちでいました。第一、試合会場に来ている選手が、どうして試合に出ないと言い出したのか。そして、一方的に興行主が彼のことを批判してはいたが、サップ選手の声というのは報道されることはなかった。何かトラブルが起こった時は、必ず両者の意見を聞かねばならないというのが私の考えです。
 だから、私は絶対に人の陰口などを信用はしません。逆にそういうことを一方的にいう人間のほうが怪しいと思う訳です。サップ選手の声を聞くことで本当の姿が見えてくると思っていました。

 そして、もう一つ。急にサップ選手が「へたれ」キャラになったこと。一時は破竹の勢いで勝ちまくっていた(まあ、体格差という利点があったが…)彼がどうして突然「泣きっ面」で秒殺されるよう選手になったのか。

 この2点に注目して、本を読んでみました。

 詳細は本を読んで頂くしかないですが、前者に関してはやはり契約問題ではありました。
 結局今になってわかったことですが、K-1は選手にファイトマネーを支払えなくなり、崩壊しました。このことからもわかる通り、K-1側が契約を履行すると言いながら、会場に行ってもそれをしない。関係者は逃げて交渉に乗らない。サップ側は契約が履行されないなら試合に出るわけにはいかないということになります。

 そして、日本のマスコミ特有の利権を与えてくれる側の提灯記事を書く訳だから、物事の本質より一方的に弱い立場の人間を悪者に情報操作してしまう。それは、大阪の阪神マンセーの記事やジャニーズや吉本、AKBマンセーの芸能記者と同じ。

 契約がいい加減でK-1に腹を立てていた選手は他にもいたようだが、試合カードを発表された以上、出場していた選手もいたようですから、それらの選手と相対してサップ選手の行動が正しいかどうかは意見が分かれるかもしれないが、私はサップ選手を支持したいと思う。約束が守られない以上、それは誰かが異を唱えないといつまでもそのような状況が続き、結局まともな選手が悔しい思いをしなければならなくなる。選手は命がけでリングに上がる以上、当然であると思います。

 また、後者の疑問に関しては、正直本を読んでいる限りはわからなかった。
 確かに本を読んでる限りでは、サップ選手自身が勝った試合に関しては少々詳しく書いているのに、負けた試合に関してはちょろっとしか書いてなかったように思います。ただ、藤田選手にぼこぼこにされた試合に関しては、かなり怒りを覚えているような書き方だった。バーリートゥードというのは何でもありと言われるが、やはり競技であり殺し合いでない以上、人としての常識として攻めてはいけない場所というのはあると思います。鍛えられないところを攻めるのは私も疑問を感じます。実際のルールの細かいところはわかりませんが、ルールと倫理感の境界線が難しいのかもしれない。そこが私がどうしても総合格闘技を好きになれないところです。

 サップ選手の試合を見ていた方、総合格闘技ブーム時代に歓喜した方には、結構面白い本だと思います。

 

野獣の怒り
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