天龍源一郎引退興行を観戦して感じたこと

格闘技

 昨日になりますが、天龍源一郎引退興行「革命終焉」を観戦してきました。
 私は小学1年生の時から全日本プロレスのファンでしたので、もうファン歴が35年になります。その時から天龍選手を見てきましたが、その熱いファイトにこそ心に響きましたが、個人的にはジャンボ鶴田ファンであったこと、天龍選手が全日本プロレスを離脱してから鶴田軍VS超世代軍からより深く全日本プロレスファンになったことで、それほど天龍選手個人への思い入れというのはありませんでした。
 しかし、プロレス界全体を見た場合、これほどプロレス界に貢献してきた選手はいないと思います。世間一般的にはジャイアント馬場さんやアントニオ猪木さんなどとは知名度は違いますが、プロレスファン、レスラー達への貢献度はNo1だと思います。だからこそ、最後の雄姿をプロレスファンとして純粋に生で感じてみたいと思い、経済的な問題を無視して今年4度目の東京に向かうことを決めました。

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 両国国技館に行くのは初めてでした。駅からすぐでしたが、入り口前に並ぶ天龍選手ののぼりの数々、大勢の人だかり、入り口に入ってからのグッズ売り場の混み具合、天龍選手の思い出の品の数々を見て、改めて「天龍源一郎」という偉大なプロレスラーの最後だと痛感しました。

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 会場に入ると大勢のファンが早くも集まり、その熱気が早くも伝わってきました。昔はこれが普通だったのかな…、と感じると今の新日本を除くプロレス界の状況は残念ですが、逆に考えるとテレビこそあったのせよ、昔のレスラー達が残してきたものは根強くファンの心に残っているのかなと感じました。

 興行は、天龍選手が長年ずっと変更せずに使い続けてきた入場曲「サンダーストーム」の作曲者、高中さんの生演奏からスタート。いきなりファンの高騰感を煽り、盛り上がり、いい形でスタートしました。

 以後、引退試合までの試合に関しては割愛しますが、ちょっと試合数が多すぎたように感じました。まあ、それだけ多くのレスラーとの関わりがあったからでしょう。周りのファンで寝てる人もいたし、私も正直高速バスで来たので眠かったのが事実です。さすがに寝ることはなかったですが…。

 ここは少し話がそれますが、いつも全日本プロレスを見ている時と違う感覚が生まれました。全日本プロレスの若手の前座は見ていて私は飽きません。それはファンだからではなく、一つ一つの動きを大事にファンに伝わるようにこなしていくれるからかもしれません。今回の出てた選手はベテランもいましたが、何かバタバタしてリングの中と観客との間に少しギャップがあったように感じました。あくまで個人的な感想です。

 メインイベントまでに最も盛り上がったのは、長州力選手の入場シーンだったと思います。それだけ昔のファンが集まっていた証拠なのかもしれません。

 注目の試合としてラインアップされていた諏訪魔VS藤田のタッグマッチに関しては、語ることが多そうなので、後日書ければと思います。

 いよいよメインイベントの引退試合ですが、ファンの盛り上がりは最高潮になるのは当然です。
 オカダ選手を生の会場で見るのは初めてでしたが、入場シーンでそれほど盛り上がっているとは思えない状況を見ると、やはり天龍選手のオールドファンが集結してるのかなと言う印象を持ちました。そういう観点ではオカダ選手が若干アウェー感を感じる中で試合することへの興味を抱かせてくれました。
 天龍選手はいつも通りの入場。のぼりがたくさん上がり、いつもの「サンダーストーム」が流れます。
 まずガウンがデビューの時に手渡されたものだったことが逆に感銘を受けたし、何より最近の特徴である会場の舞台を設置した花道でなく入場通路から入ってきた作りだったことが個人的には良かったです。天龍選手は初の東京ドーム出場の際に簡易な舞台に上がっての入場を拒否したんでしたよね。こだわりを感じました。一人でも多くの人の来場もあったからでしょうが。。。

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 試合自体は歩き方もぎこちない天龍選手が今をときめくオカダ選手相手にどんな試合をするのか?一騎打ちなので助けてくれるパートナーもいません。

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 しかし、そんな中ですが、足の踏ん張りは利かずとも試合を成立させた天龍選手には脱帽でした。今のコンディションでもできる腰の入らない打撃、倒れてる状況での頭突き、WARスペシャルなどできる技を工夫してやっている姿は大変心を打たれました。
 特にここ5年近くできなかったパワーボムを踏ん張りがきかないからコーナーに持たれた状態で無理やり放ったのは驚きとともに天龍選手の機転の素晴らしさを感じました。

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 またオカダ選手も戦いにくかったと思いますが、よく天龍選手を引き出してくれていたと思います。間合いの取り方も絶妙で、「なんでそこでそんなことするの?」みたいな気持ちは生まれませんでした。正直、技を受けてくれるのも協力していたように思いますが、それとてオカダ選手の株が上がる要素だと私は思います。

 そして何よりこの試合で感じたのは、やはり乗りに乗ってるオカダ選手の攻撃を受けても必死に立ち上がろうとする天龍選手の姿でした。会場ではわからなかったものの、帰宅してテレビを見たら本当に立ち上がることさえキツそうでした。それでも試合を続かせようとする心意気は同年代や多くの年配の方の心に突き刺さったのではないかと思います。65歳でも28歳でコンディションも充実している相手に言い訳もせず、立ち向かっていく姿勢に年齢には関係なく、人が必死に何かを行うことの大切さを教えてもらった気がしますし、それが受けを大事にするプロレスの魅力の原点ではないかと再認識しました。

 オカダ選手に敗れた後の引退セレモニーは関係者各位が登場したりする通常の大掛かりなものではありませんでした。
 往年の好敵手であり、仲間であったスタン・ハンセンさんやテリー・ファンクさんが花束を渡し、代表の娘さんからの花束とあいさつ、天龍選手からの短いながらもファンへのスピーチ、10カウントゴングだけでした。
 これも天龍選手らしかったのではないかと思いますし、私としては引退試合の天龍選手の気概を見れただけで十分満足でした。

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 プロレス界に多大な功績を残した天龍選手がとうとう引退しました。
 その最後の姿は、改めてプロレスの魅力を再認識させてくれるものでした。スポーツ(あえてそう言うが…)はマスコミや周りの関係者が作り上げるものではありません。実際戦っている選手が結果のみならず、その必死に一生懸命頑張っている姿を見ている者に見せ、何かを感じさせることが大切なのだと、選手自身が何より主役にならないといけないのだと私は再認識しました。それは強い、弱いで縛られることなく誰でもその頑張る姿に何かを残せるのだと感じました。

 大掛かりな仕掛けは無くても心に…純粋にプロレスというジャンルの素晴らしさを残してくれる、とても良い引退興行でした。
 悩んでいった東京でしたが、生でその姿を拝見し、体感で残るきたこと満足し、感謝しています。
 天龍選手、非常に長い間お疲れ様でした。そして、体を酷使しながらプロレスの魅力を伝えてきてくれたこと、ありがとうございました。

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