少年期のトレーニングについてお話しする前に、よく「○○君は運動神経がいい」とか「私の子は運動神経が悪いからダメだ。」などと言われることがあります。
よく少年期の育て方(学校も含めて)に関して、優劣をつけない方がいいと言う話をよく聞きます。
私の考えとしては、それは子供自身が優劣を感じてはいけないのではなく、指導者(先生)が少年期の段階で子供の能力の優劣を決めつけてしまうことがいけないということだと判断します。
子供には大いに勝ちを喜び、負けの悔しさを覚えさせればいいのです。それで、本人が自覚していくわけですから。
ただ、彼らを育てるべき立場の大人が、まだまだこれから伸びていく子供に対して、「お前はできる、お前はできない」と決めつけてはいけないのです。
ハッキリ言いますが、子供はどんな子でも必ず伸びます。指導者が伸ばす方法を知らない、学ばないだけなのです。
そこで、運動神経のお話に戻ります。
運動神経が良い、悪いと言うのは、よく遺伝だと勘違いされる方がいますが、様々な研究の中で、運動神経と遺伝にはそれほど因果がないと言われています。
では、どうして、運動能力の優れた両親を持つ子供は相対的に見て運動神経が良いのでしょうか?
それは、運動好きな両親が、お子さんが小さい時から一緒に体を動かして、遊ぶ(スポーツをする)環境を作っているからだと言われます。
一緒に外で走り回ったり、ボール遊びを親子でしたり…。幼児の段階で外で遊ぶ癖ができているか、家の中で遊ぶ癖ができているかが大きな環境の違いと言えるのです。
小学生に進学する前の幼児期にこのような運動する環境を整えることは非常に重要であり、そこで養われた能力は生涯ものだとも言えます。
そう考えると、幼児が遊んでもケガをしにくい芝生のグランドが推奨されるのも頷ける話です。
それでは、幼児期にそのような環境を与えられなかったら、もう子供は伸びないのでしょうか?
そんな訳はありません。
あくまで、大きく伸びる時期だということであり、それを逃したとしても後で取り返せばいいだけの話です。
特に少年期には、10歳ごろからがゴールデンエイジだと言われています。
これは小学4年生からあたりが、一気に運動能力が伸びる時期であり、言いかえれば、これまでに養ってきた体力を、今度は頭を使って(神経)それらを使いこなす能力が伸びる時期と言う訳です。
このように随所に子供が伸びる時期と言うものが存在します。
大切なのはそれぞれの適切に対応した練習、方法論が必要なのです。
もう一度、言わせて頂きますが、子供の段階で「○○は一流」「●●は三流」…こんなことはあり得ません。
皆それぞれに伸びる時期があり、その時にしっかり大人が伸ばせてあげる環境を整えて、どんな子でも大切に指導してあげて欲しいのです。
野球で例えるなら、「○○はできるから、エースで四番」、「●●は上手くないから、バントや四球狙い」、私はこんな野球をしているチームを多数見てきました。
だからこそ指導論を学んで、何とか恵まれない(?)子を伸ばしてやろうと躍起になったものでした。
子供は皆、伸びる力を持っています。
それを大人が奪い取るようなバカなことはやめ、皆にきちんと練習と適材適所に試合に出す機会を作るべきでしょう。
個々の差は、チーム練習以外で個別練習の時間を作り、それぞれの弱点を補う練習をしてあげればよいのです。
子供の頃の差なんて、1年でも頑張れば一気に縮まるものです。
逆にその機会を指導者が奪えば、子供は生涯スポーツが苦手になることだってあるのです。
それだけ、子供の運動神経を伸ばす環境を作ると言う事は、とてもとても重要なのです。
ですので、自分の子供の運動能力を悲観されている保護者さんがいらっしゃるならば、絶対に親が諦めないようにしてほしいと強く願います。
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