東大野球部の71連敗と張本氏の発言について

 今、マスコミで少し話題になっている東大野球部が東京6大学野球リーグ戦において71連敗をしたという話題が出ております。
 また、それに併せて野球解説者の張本氏が「私が教えたら3勝はできる」などと発言し、特別コーチを務めている桑田元投手に対しても苦言を呈したという記事を見ました。

 張本氏「私が教えたら3勝はできる」 – アマ野球ニュース : nikkansports.com

 正直、張本氏の発言にいちいち反応したくはありませんし、彼の発言を戯言のように聞いているファンがほとんどだと思いますが、少なくとも野球ファンの一部に影響を与えているでしょうから、そう考えると非常に残念でなりません。
 スポーツの指導というのは簡単なものではありません。
 俗に言う「心技体」が揃ってなければなりませんし、それぞれの分野においても着目する点がたくさんあります。
 指導の一言二言で簡単に修正できるものではないことくらいわかるでしょうし、もしそれが実現するなら誰もが簡単に立派なスポーツ選手に成り得るでしょう。
 一生懸命頑張る選手や指導者の取り組みを言葉一つで批判し、あたかも自分自身は優れてると思わせる様なやり方はとても許されるべきでは無いと私は思います。
 日本のスポーツ指導の現状においては、選手の失敗や下手な部分を見つけると一言二言の適当な指導をし、それが身を結ばなければ「選手の才能が無い」、上手く行けば「俺の言うとおりにしたら上手くなった」などと愚かな発言をする指導者を数多く見てきました。こういう指導環境でスポーツをしていた選手が、大人になったとき同じように下の選手を見下し、指導する・・・こういった悪循環を何とか止めて欲しいものです。

 東大野球部は当然ではありますが、6大学で唯一スポーツ推薦を行っておりません。
 当たり前ですが、スポーツ推薦で一流の野球選手を獲得している他大学と比べても当然力の差は歴然とするはずです。ましてや東大は相当の学力が無いと入学できる訳でなく、当然でありながら6大学という括りで大学野球のリーグ戦が組まれている以上、大きな差があることは致し方ない事実です。
 その中でも桑田元投手が特別コーチになるなど、必死に取り組んでいるわけですし、当然桑田氏も勝てなかったら言われもしない批判を浴びる可能性があることは承知の上で「東大野球部」の指導を引き受けたのでしょう。

 スポーツの指導というのは、技術力が無い選手あるいは選手の弱点を修正し、上手い下手に関わらず選手の能力を上げるために取り組むべきものであり、指導者も選手もそのために努力し、指導法やプレー方法をそれぞれが学んでいく必要がある訳です。
 だからこそ、指導者として評価されるのは選手をどれだけ伸ばすことができたかが大切なわけであり、例えば今回の件で言うと、「東大野球部が勝ったか・・・?」というより「選手のパフォーマンスをどこまで伸ばせれたか・・・?」を見ないといけません。そこがまず指導者を見るべきところであり、そういった点を全く確認しないままリーグ戦で勝つことが極めて困難である状況下であることを承知の上で、このような記事やテレビで批判する解説者を見ていると腹立たしく思います。

 正直な話、強いチームというものは中学生のクラブチームの段階から小学生の有望な選手を獲得しているといわれています。
 確かに私が小学生の野球チームを指導していた時も強かった時代だけ、やたらと某ボーイズのチームから選手が勧誘を受けたと聞きました。
 そして上手い選手のみを集めて、強いチームが出来上がり、それをあたかもそのチームが凄い練習をして育てたかのような記事を書く。そして、その記事や情報から上手い選手が勘違いして集まっていく・・・このような悪循環があります。
 上手い選手を集めるということは、上手い選手しか育てることができません・・・ということだと私は判断します。

 下手と言われる選手であっても試行錯誤して上達させる指導者こそが本当に立派な指導者ではないでしょうか?
 だからこそ、そうなるために指導者は日々練習方法が研究していく必要がある訳です。
 それだけは誤ってはいけません。時代は変化し、進歩していく訳だから、練習方法だって変わっていくはずです。

 推薦も無く、能力に優れた選手が集まりにくい環境下のチームでありながら指導者を引き受けた桑田氏には敬意を表すと共に頑張って欲しいと思います。
 また張本氏のように口だけで選手や指導者の取り組みを批判し、イメージを悪くさせ、自分だけ勝ち誇るようなスポーツ指導者がいなくなることを私は願います。

 

 

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