本格的な冬の冷え込みが近づくと、手足の先の冷えがつらいと感じる方が増えてきます。この記事では、冷え性がどのようなものかを整理したうえで、運動・ストレッチと食事の両面から、血流を整えるために日常で取り入れやすいことをまとめます。
なお、ここで紹介する内容は、冷え性が治ることをお約束するものではありません。研究で示唆されていることと、まだ分かっていないことを分けてお伝えします。
冷え性とは
冷え性は、気温など周囲の環境が「人が寒さを感じない程度」であっても、手足など体の一部が冷えてつらいと感じる状態を指します。実際に深部体温が下がっているとは限らないのが特徴で、西洋医学では病気として扱われないことが多いとされています。
国の調査を基にした解説では、手足の冷えを自覚症状として挙げる人は年齢とともに増え、女性に多いとされています。「年齢のせいだから仕方ない」と感じやすい悩みですが、日常の過ごし方で和らぐ可能性があるのかを見ていきましょう。
冷えの背景にある自律神経とホルモン

冷えの背景として、自律神経の乱れが挙げられています。交感神経が優位になると血管が収縮し、血流が下がりやすくなるという説明があります。
自律神経の乱れの誘因としては、次のようなことが挙げられています。
- ストレスや過労
- 不規則な生活
- 寒暖差
- 運動不足
女性では、月経によるホルモンの変化が自律神経に影響するという見方もあります。ただし、冷え性が起こる仕組みは、現時点で明確には解明されていないとする研究報告もあります。ひとつの原因だけで説明できるものではない、と受け止めておくとよいでしょう。
運動・ストレッチで血流を整える
研究で示唆されていること
2023年に報告された研究では、冷え症の成人女性16名を対象に、2週間のウォーキングとジョギングの運動を行ってもらいました。その結果、運動をしたグループで、手足の末端の冷感症状の緩和や、足の温かさ・心地よさの感じ方の向上が確認されたとされています(掲載誌:Journal of Physiological Anthropology)。
ただし、対象者が少ない小規模な研究です。効果を一般化するには、さらに大きな検証が必要とみられています。「運動で必ず改善する」ではなく、「取り入れる価値がありそうだ」という程度に受け止めてください。
日常で取り入れやすい動き

血流対策の運動として、次のようなものが紹介されています。
- ふくらはぎを動かす、かかとの上げ下げ
- 朝と晩のストレッチ
- 入浴後のストレッチ
ふくらはぎは、足先から心臓へ血液を戻すときに働く部位として知られています。かかとの上げ下げは、立ったままでも座ったままでもでき、場所を選びません。回数や強さは、痛みや無理のない範囲で調整してください。
食事・栄養で冷えにアプローチ

血行を助けるとされる栄養素
食事の面では、次のような栄養素が紹介されています。
- ビタミンE:血行を助ける栄養素。食用油、種子類、魚、緑黄色野菜などに含まれる
- 鉄分:全身に酸素を運ぶ働きに関わる。肉、魚介、豆腐、卵、乳製品などに含まれ、ビタミンCと一緒に摂ると吸収を助けるとされる
- 炭水化物・たんぱく質:体のエネルギーや材料になる栄養素として、しっかり摂ることが挙げられている
特定の食べ物をひとつ食べれば冷えが解消する、というものではありません。主食・主菜・副菜をそろえ、いろいろな食材を無理なく組み合わせることが基本です。
食事に関する注意点
これらの栄養素が冷え性そのものを治すという、確立した医学的な根拠は示されていません。サプリメントで特定の栄養素だけを大量に摂ろうとせず、まずは普段の食事を整えることを意識しましょう。
研究の現状と今後
運動が冷えを和らげる仕組みについては、脳の働きや皮膚の血液循環の機能など、分かっていない部分が大きく残っています。短期間の運動で、本人が感じる症状の緩和が確認された例はありますが、対象者が少ないため、今後より大きな規模での検証が課題とされています。
取り入れるときの注意点
- 効果には個人差があります。「とされる」「示唆されている」という段階の情報として活用してください。
- 運動は、体調の良い日に、無理のない範囲から始めましょう。痛みやめまいがあるときは中止してください。
- 持病や服薬、食事の制限がある方は、運動や食事を変える前に主治医にご相談ください。
- 冷えが強い、しびれや痛みを伴う、急に悪化したなど、症状が気になる場合は、医療機関に相談しましょう。
まとめ
- 冷え性は、環境が寒くなくても手足の冷えを感じる状態で、年齢とともに自覚する人が増え、女性に多いとされています。
- 背景には自律神経やホルモンの乱れがあるとみられていますが、仕組みは十分に解明されていません。
- 運動・ストレッチは、小規模な研究で症状の緩和が示唆されています。かかとの上げ下げなど、手軽な動きから試せます。
- 食事では、ビタミンEや鉄分などが紹介されていますが、冷えを治す確立した根拠はありません。普段の食事のバランスを整えることが基本です。
- 症状が強いときや気になるときは、自己判断せず医療機関に相談しましょう。
寒い季節を心地よく過ごすために、できそうなことをひとつだけ、今日から選んでみてはいかがでしょうか。